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『札幌メディアアート・フェスタ』開催報告

札幌を代表するアーティストの作品を展示

平成17年8月27日、北海道大学学術交流会館において、『札幌メディアアート・フェスタ』が開催された。本フェスタは、情報文化学会が主催し、同学会の第13回全国大会と同時開催される形でプログラムが組まれた。「札幌を代表する優秀メディアアート作品の展示・紹介」として、札幌に在住・在学するメディアアーティストのうち、プロフェッショナル作品が48点、学生作品が46点出品され、終日展示された。 午後には、「札幌メディアアート・グランプリ贈賞式」と題し、河口洋一郎氏(東京大学大学院情報学環教授)を審査委員長とする選考を経て、特に優秀な作品が表彰された。内訳は以下の通りである。

○ 札幌メディアアート・グランプリ
  • 「記憶をビジュアル化する試み」山崎将征さん(北海道造形デザイン専門学校)
○ 札幌メディアアート賞(該当2作品)
  • 「キャンベルスープ・インスタレーション」札幌平岸高等学校の皆さん
  • 「Oblique Chair(斜投象の椅子)」神田彩加さん(道都大学)
○ 河口洋一郎賞
  • 「Architectural Noise」熊谷健さん(道都大学)
デジタル・アートやCG作品、コンテンツなどの広い分野を包含する同フェスタにふさわしく、ショート・ムービーやインスタレーションを含む多彩な作品が受賞に輝いた。

特別対談と実演&ディスカッション企画の実施

同フェスタでは二つの特別企画が組まれた。「情報文化ギガロポリスSapporoの未来系」では、札幌市市民まちづくり局の池田捨成理事および、札幌市立大学設立準備室の武邑光裕部長が、札幌の未来構想を披露したのに対し、CGアーティストの第一人者である東大の河口洋一郎教授が応える形で特別対談が行われた。また、「Sapporoメモリアル・パフォーマンス&ディスカッション」では、河口教授のCG作品のデモンストレーションに加え、漫画『ルパン三世』で有名なデジタル漫画協会のモンキーパンチ会長による漫画制作の実演が行われ、コンピューターを駆使した新しい時代のアートの誕生を予感させるディスカッションが繰り広げられた。


報道採録

北大で「メディア・アート・フェスタ」*ハコ依存からモノづくりへ*
研究者ら札幌の未来像語る
2005/09/06,北海道新聞夕刊全道,11ページ,写,1126文字

「札幌メディア・アート・フェスタ」が八月二十七日、北大学術交流会館で開かれた。
情報文化学会第十三回全国大会と同時開催で、アート産業、デジタル・コンテンツ(情報の内容)産業育成を目指す札幌市に、同学会が呼応する形でシンポジウムなどを企画した。国際的メディア・アーティストで東大大学院情報学環教授の河口洋一郎氏らをゲストに迎え、メディア・アートの現在や来春開学する札幌市立大学への期待などが語られた。
「メディア・アート」は、コンピューターグラフィックス(CG)、映像、デザインなどをさまざまな媒体による表現。IT技術の進歩が多様な表現を可能にした現代アートだ。
「情報文化ギガロポリスSapporoの未来形」と題した論議では、札幌市市民まちづくり局の池田捨成理事が「アートデジタルが目指すべき産業の象徴だと思っている」「クリエイターの集積とマーケットを結びつけていきたい」と同市の産業振興の考え方を紹介。札幌市立大学設立準備室の武邑光裕部長も医療とデザインの融合といった大学の構想を説明しながら、「経済の余剰が文化をつくっていくという考え方から、文化が経済をけん引していく時代になった。創造産業への人材育成を市民、地域社会への貢献へとつなげたい」と語った。
一九八○年代から同市やメディア産業とのつながりがある河口氏は「最先端のメディアテクノロジーを札幌の産業に落とし込むと、近未来の都市ができるような気がする。教育だけだと人材は逃げていく。魅力ある都市づくりも一緒に行い、卒業生をどうつなぎ、産業に生かしていくかを考えなければならない」と指摘。CGによる生命表現が得意な作家らしく「成長、進化し、突然変異もさせて強い遺伝子をつくり、どんどんバラまき自己増殖する。そんな強いまちづくりにしていこう」とエールを送った。
「パフォーマンス&ディスカッション」では、河口氏が大型スクリーンで自作品を紹介。デジタル漫画協会会長のモンキーパンチ氏(釧路管内浜中町出身)が、コンピューターを使用した漫画制作などについて語り、「札幌でデジタル漫画をつくるソフトの開発が進んでおり、将来は漫画を見るハードができるかもしれない」などと話した。モノづくりの基盤のなかった札幌市が、新しい文化の勢いを感じ取り、産業振興へつなげていこうとする熱意と可能性が伝わる内容の濃いフェスタだった。司会を務めた北大大学院国際広報メディア研究科の伊藤直哉助教授は「札幌市のやろうとしていることは、箱物に頼ってきた北国には珍しいソフト戦略だと思う」と評価していた。
(木崎美和)